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京都地方裁判所 昭和50年(わ)1266号 判決

本店の所在地

京都市上京区室町通丸太町上ル大門町二六五番地

法人の名称

一富株式会社

代表者の住居

京都市北区小山下総町四二番地の七

代表者の氏名

西山富三郎

本籍

京都市下京区仏光寺通鳥丸西入釘隠町二五二番地

住居

京都市北区小山下総町四二番地の七

会社役員

西山富三郎

大正三年七月八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官葛井義雄出席して審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人西山富三郎を懲役一年に

被告人一富株式会社を罰金一五〇〇万円に

各処する。

被告人西山富三郎につき、本裁判確定の日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

罪となるべき事実

被告人一富株式会社は、京都市上京区室町通丸太町上ル大門町二六五番地(昭和五〇年一一月七日以前は同市北区小山下総町四二番地の七)に本店を置き和装製品製造販売業を営むもの、被告人西山富三郎は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人西山富三郎は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四七年一〇月九日から翌四八年九月三〇日までの事業年度において、所得金額が五、九五六万六、〇〇一円で、これに対する法人税額が二、一六一万八、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、売買差損が算出されるように架空の仕入及び売上を計上し、売上高の集計を減算する等の行為により所得を秘匿した上、同四八年一一月二九日同市上京区一条通西洞院東入ル所在上京税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、〇七四万五、二六五円で、これに対する法人税額が三六七万六、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額一、七九四万一、七〇〇円を免れ、

第二、昭和四八年一〇月一日から翌四九年九月三〇日までの事業年度において、所得金額が九、〇七四万六、七七五円でこれに対する法人税額が三、五三六万一、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上、売買差損が算出されるように架空の仕入及び売上を計上し、期末商店たな卸高を減額する等の行為により所得を秘匿した上、同四九年一一月二九日 記上京税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、七五四万九、六四二円で、これに対する法人税額が六〇八万二、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二、九二七万八、八〇〇円を免れ、

たものである。

証拠の標目

判示全部の事実につき

一、被告人の当公判延における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問でん末書

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、国税査察官作成の調査報告書四通(検甲第四号、第七号、第一七号、第一八号)

一、萩野富一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、商業登記簿謄本

判示第一事実につき

一、法人税確定申告書謄本(検甲第二号)

判示第二事実につき

一、法人税確定申告書謄本(検甲第三号)

法令の適用

被告人西山につき

法人税法一五九条一項(懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重)。刑法二五条一項。

被告人会社につき

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項。刑法四五条前段、四八条二項。

(裁判官 川口公隆)

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